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白川 純 欧州列車旅行でのいざない

スペインが誇る優等夜行列車 『パブロ・カザルス』でスペインからスイスへ

白川 純

 夜、寝室で目を閉じ、朝、目覚めと全く違う世界に自分がいるという夢を、誰もが一度は見たことがあるかと思います。その夢は、スペイン・バルセロナのサンツ駅から始まります。

 定刻20時38分、スペイン国鉄が誇る優等夜行列車『パブロ・カザルス』が、ゆっくりと静かに異国の地へ向かって長い旅路に出発します。予約してある今回の部屋は、「グランクラス」と呼ばれる一等個室で、シャワー、トイレ、洗面台、エアコンが完備されています。もう一つの一等個室「プリファレンテクラス」にも洗面台とエアコンが設備されています。
 一等個室の乗客は、サンツ駅構内のVIPラウンジが利用でき嬉しい限りです。そのほか個室ではありませんが、一等のリクライニングシートのリーズナブルな車両も連結されています。二等個室の「ツーリスタクラス」は、洗面台とエアコン完備の男女別の4人部屋になります。

 チケットを提示し車内へ乗り込んだ後、部屋のドアを開けて、後で「寝台」に変身する座席に腰を下ろし、部屋の設備をチェックします。奥にある窓の向こうには、バルセロナの街の灯が流れては消え、その向かい側の扉を開けると、左手に洗面台、右手にトイレがあります。さらに奥には、カーテンで仕切られたシャワールームがあります。

 少し部屋にも馴染んだところで、楽しみにしていた食堂車へ。すでに食堂車は、夕食とお酒を楽しもうという乗客で混み合っていましたが、空いている席を見つけ席に着きます。グランクラスのチケットには、食堂車での夕食と朝食代が含まれています。
 料理はコース料理で、前菜、メイン、デザートと充実。もちろん、別料金を払えばアラカルトでの食事も可能です。前菜は6種類から、メインは5種類から、デザートは5種類の中から選べます。お酒はスペイン、フランス、イタリアのそれぞれの赤ワインと白ワインがあり、ウィスキーやソフトドリンクも用意されています。食堂車の営業時間は、夕食が午前1時までで、朝食は午前6時30分より。グランクラスの乗客は予め予約しておけば朝食のルームサービスも受けられます。また、食堂車以外にカフェテリア・バー車両も連結されていて、こちらは午前1時30分まで営業しています。

 夕食を楽しんだ後、部屋に戻ると、すでに座席が寝台へと変わっていて、枕元にはチョコレートが置いてありました。シャワーを浴びた後、静かに走る列車の音を聞きながら眠りにつきます。

 朝、目覚めると、朝焼けが窓一面を覆い、遠くに空高くそびえる山々が見えます。そう、ここは世界屈指の山々をもつヨーロッパの中心、スイス。澄んだ空気、人生感を変えさせるほどの迫力ある景色の数々がいっぱい点在する国です。
 車窓から朝日に染まる山々を遠くに見ていると、昨日までのスペイン文化との違いがひしひしと感じられ列車の中にいるにもかかわらず、すでに異国の地に辿り着いた実感が得られます。これこそ、ヨーロッパだからできる旅です。

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 ヨーロッパには、私がお勧めしたい夜行列車だけでも、『パブロ・カザルス』以外に15路線もあり、それぞれに魅力的な旅情があります。次の旅行では、国際夜行列車での旅を楽しんでみませんか?


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